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2019/04/20

reorg(&mybookshelf); // #9

  • 井尻正二/秋山雅彦=編著 化石の世界 大月書店(1992/09/11) ISBN4-272-44022-5
  • アンドリュー・パーカー=著 渡辺政隆/今西康子=訳 眼の誕生 カンブリア紀大進化の謎を解く ISBN978-4-7942-1478-2
  • マテュー・グネル=著 米田成一=監 斎藤かぐみ=訳 隕石 迷信と驚嘆から宇宙科学へ 文庫クセジュ(2017/05/30) ISBN978-560-51012-4
一口に昔のモノと言うと,骨董品や美術品の様なモノも悪くないのだが,理系的には化石と隕石を挙げない訳には逝かぬ.詳しい内容は...まぁ,上記の様なちゃんとした本を読めば良い.
  • ハワード・フィリップス・ラヴクラフト=著 大瀧啓裕=訳 ラヴクラフト全集 1 創元推理文庫(1974/12/13) ISBN4-488-52301-3
  • ハワード・フィリップス・ラヴクラフト=著 大瀧啓裕=訳 ラヴクラフト全集 2 創元推理文庫(1976/08/20) ISBN4-488-52302-1
  • ハワード・フィリップス・ラヴクラフト=著 大瀧啓裕=訳 ラヴクラフト全集 3 創元推理文庫(1984/03/30) ISBN4-488-52303-X
  • ハワード・フィリップス・ラヴクラフト=著 大瀧啓裕=訳 ラヴクラフト全集 4 創元推理文庫(1985/11/29) ISBN4-488-52304-8
  • ハワード・フィリップス・ラヴクラフト=著 大瀧啓裕=訳 ラヴクラフト全集 5 創元推理文庫(1987/07/10) ISBN4-488-52305-6
  • ハワード・フィリップス・ラヴクラフト=著 大瀧啓裕=訳 ラヴクラフト全集 6 創元推理文庫(1989/11/24) ISBN4-488-52306-4
  • ハワード・フィリップス・ラヴクラフト=著 大瀧啓裕=訳 ラヴクラフト全集 7 創元推理文庫(2005/01/21) ISBN4-488-52307-2
  • ハワード・フィリップス・ラヴクラフト=著 大瀧啓裕=訳 ラヴクラフト全集 別巻 上 創元推理文庫(2007/09/28) ISBN978-4-488-52308-4
  • ハワード・フィリップス・ラヴクラフト=著 大瀧啓裕=訳 ラヴクラフト全集 別巻 下 創元推理文庫(2007/12/28) ISBN978-4-488-52309-1
ぃぁぃぁ...失敬.昔のモノ,出てきますね.すごく昔のモノが...で,内容はと言うと,殆ど面白くなかった...と言ったらマニアに刺されそうだが,個人の感想なので.どっちかっつーと,メジャー/マイナー問わず,最近のオマージュ作品の方が面白く感じる.やっぱりオレが現代人だからなのだろうか.

アプリオリ(a priori)と言う哲学用語がある.経験的認識に先立つ先見的/自明的なモノの事で,カントとかが良く使う.カントによれば,空間と時間はアプリオリな概念らしいが,ここでカントの二番煎じを行うつもりはない.ただ,昔のモノ繋がりで言えば,時間が不思議なモノだと感じる事は良くある.
  • ジャン・ポール・サルトル=著 鈴木道彦=訳 嘔吐 新訳 人文書院(2010/07/20) ISBN978-4-409-13031-5
これは異常な瞬間だった。私はそこで凍りついたように動けず、恐ろしい陶酔に浸っていた。けれどもこの陶酔のまっただなかに、何か新しいものがあらわれた。私は〈吐き気〉を理解し、それを所有していたのだ。実を言うと、私は自分の発見を明確に言語化したわけではない。しかし今はそれを言葉にするのも容易に思われる。本質的なことは偶然性なのだ。つまり定義すれば、存在は必然ではない。存在するとは単にそこにある、、、、、ということなのだ。
ジャン・ポール・サルトル=著 鈴木道彦=訳 嘔吐 新訳
徒歩通勤と食材の買い出しを除けば,外出はおろか,遠出をする事は殆ど無いのだが,偶にバスや電車で移動する時,普段の歩く速度とは桁の違う速度で移動している時,ふとそう感じる時がある.窓からは幾つものビルやマンションが見える.電線や踏切,アスファルトで舗装された道路.コンビニや飲み屋の電飾.自転車や車,それで移動する人達.それら全ては,多分100年位前は存在しなかった.乗り合わせた人達も運転手も自分も,この電車やバスも100年前には存在しなかった.まぁ,寺や神社や神木なら100年前からあったかもしれんが.

日本人はコメを喰う.実家から持って来たmaxで3合炊きの古い小さな炊飯器から御飯をドンブリに盛っている時に,ふとそう感じる.今,コメを作っている農家の人たちは100年もコメを作っている訳ではないし,多分100年もコメを作り続ける事は出来無い.つまり,田植えも稲刈りも未だ100回も経験していないし,これから死ぬまでコメを作り続けても100回も経験出来無い.

目の前のPC上のエディタで開かれたコードを見る.PCも,その上で動作するエディタも100年前には存在しなかった.モノとノリに依るが,日に10kLOC程度までなら書く事が出来る.オレが死ぬまで,あとどれ位のコードが書けるだろうか.

2019/04/19

reorg(&mybookshelf); // #8

ガキの頃の話をしよう.雑木林と草っ原で遊んでいたガキの頃の話を.
  • 椎名誠 蚊學ノ書 夏目書房(1994/10/25) ISBN4-7952-5778-7
  • アンドリュー・ロウラー=著 熊井ひろ美=訳 ニワトリ 人類を変えた大いなる鳥 インターシフト(2016/11/30) ISBN978-4-7726-9553-4
  • ペーター・ヴォールレーベン=著 長谷川圭=訳 樹木たちの知られざる生活 森林管理官が聴いた森の声 早川書房(2017/05/25) ISBN978-4-15-209687-6
  • ペーター・ヴォールレーベン=著 本田雅也=訳 動物たちの内なる生活 森林管理官が聴いた野生の声 早川書房(2018/08/15) ISBN978-4-15-209789-7
良く蚊に刺された.と言うのも,自ら進んで雑木林に突撃してカブトムシとクワガタを死ぬほど捕まえていたからだが.カブトムシとクワガタ,マジで死ぬほど捕まえてたからな.どれ位捕まえていたかと言うと,熱中症になると言われて母親に無理矢理被らされていた帽子,ツバの部分を内側に折り込んでギョウザみたいな形にして虫籠代わりにしていたんだが,アレに詰め込み過ぎて帽子が破れる位.

蚊に刺されるのは,まぁ,痒くなる以外はなんでもなかったんだが,ハチはヤバイ.カブトムシは樹液が出ているトコに良く居るんだが,同じトコにスズメバチも居るのでBB弾で狙撃して仕留めてから捕まえたりしてたな.当然命中率はあまり良くないので,狙撃に失敗した場合は一目散に逃げ出したりしてた.今思えば,命知らず過ぎた様な気もする.あと,アレや,カナブン.飛んでる時の音がハチみたいで,目の届かない背後や頭上を飛ばれるとマジでビビる.反射なんだろうが,ビビると首を引っ込めてしまうので,首筋が何時も攣りそうになった.

時間帯の問題だろうケド,クワガタは樹液の出ているトコにはあまり居た記憶が無い.日が出ている間は梢と言うか,高い所に隠れている.或る程度大きな木は手の届く所に枝が生えていないので,あまり木登りには向いていない.つまり,登って捕まえに行く事は出来無い.どうやって捕まえるかと言うと,それっぽい木の近くに立って利き足の裏を幹に当てて,"ト"みたいな恰好で精神統一した後,徐に幹を蹴る.蹴った後,数秒は利き足を地面に戻してはならない.余計な音を発てない為だ.出来れば,呼吸も止める.巧く行くと,梢まで蹴った振動が伝わり,ワンテンポ遅れてノコギリクワガタとかが落ちて来る.振動にビックリして木に掴まって居られなくなるっぽい.地面に落ちると,ボタッと特徴的な音がするので,これで当たりを付けて回収する.周りが煩いと,この落下音を聞き逃してしまうので,静かな時間帯を選ぶと良い.早朝,ガキ向けのニチアサ番組が始まる前あたりが丁度良い."それっぽい木"と言ったが,高い所に隠れているヤツが見えている訳では無いので,ハズレを引くと,当然,何も落ちてこない.そう言う場合は,苦し紛れに木の根元を穿るとコクワガタとかが捕れる事がある.

ニワトリを飼っていた.確かチャボと烏骨鶏,それから何か良く分からん白くて赤い鶏冠の図体がデカいヤツ.ウサギとモルモットも飼っていたので,放課後や休みの日は犬の散歩がてら草っ原から奴らの餌を調達していた.生えてる草を適当にぶち抜いてビニル袋いっぱいに詰めて持って帰り,奴らを飼っている小屋の中に撒いておくと,翌日には跡形も無く消えていた.奴ら,日中はずっと草食ってたイメージがある.

草いきれと言う言葉がある.晩夏を表す季語らしいが,草っ原の実態は爽やかさからは程遠い.葛やセイタカアワダチソウ,ハルジオンならそれほど臭いはしないが,ヨウシュヤマゴボウやヘクソカズラなんかは結構酷い臭いがする.で,店先にあるのぼり,あの旗みたいなヤツ.アレの支柱の天辺に横向きに刺さっている棒,多分繊維強化プラスチックだと思うんだが,これが草っ原では最強の剣になる.折れず,良く撓る.バッサリやると面白い程良く斬れる.ドデカいヨウシュヤマゴボウとかも一刀両断.ただ,斬り甲斐のある背の高い草や蔓植物は奴らの餌には向かない.ハコベやナズナ,オオバコやエノコログサとかに人気があった記憶がある.

秋になると,田んぼで育ったヤゴが成虫のトンボになるので,コイツをしこたま捕まえてニワトリに食わせてた.まぁ,労力に見合う程の卵は産んでくれなかった気もするが.

reorg(&mybookshelf); // #7

一週間経つが,未だ本の整理をしてる.

本の整理をしつつ,読書感想文の様なモノを書くと言うのを続けている訳だが,この方法の欠点に気付いた.並行してネタ探しをする為,本来の目的である整理のスピードが落ちる.と言うか,ネタ探しが一段落するとその日の整理を終了してしまう...目的と手段が入れ替わってる感が若干あるが,継続する効果は或る程度確認されたので,引き続き,経過観察としたい.

新書は携帯性に優れ,値段も手頃なのだが,紙面の都合で内容が薄くなりがちで,残念ながらハズレが多い.読み始めから安物買いの銭失い感が猛烈にする様なモノを引いてしまうと苦痛過ぎるので,特に発売日の新しいモノは,敢えて手を出さない様にしていたりする.ただ,アタリだった本の巻末とかに参考文献として挙げられていたり,著者/訳者の後書きで良書として挙げられていたりすると,同様にアタリだったりする事が多い.ここで言うアタリ/ハズレは,一般人にウケそう/ウケなさそうと言う意味ではなく,寧ろ,そう言う意味では逆で,オレがウケた/ウケなかったと言う意味なので,過度な期待をしてはならない.結局の所,自分に合う本を読むのが一番なのだ.
  • 金子史郎 アトランティス大陸の謎 講談社現代新書(1973/08/25) ISBN4-06-115728-0
  • 金子史郎 ノアの大洪水 伝説の謎を解く 講談社現代新書(1975/05/20) ISBN4-06-115798-1
  • 金子史郎 ムー大陸の謎 講談社現代新書(1977/11/20) ISBN4-06-115889-9
  • 金子史郎 聖書の奇跡 その謎をさぐる 講談社現代新書(1980/07/20) ISBN4-06-145584-2
上記はアタリだった.どれを初めに読んだかは忘れたが,一冊読んでアタリだと判断して残りを密林で著者買いした記憶がある.著者/出版社的には嬉しくない事なんだろうケド,新書の中古品は値崩れが激しいので,送料に目を瞑れば,殆どタダみたいな値段で手に入るのも,紙の本の利点の一つと言えるかもしれない.まぁ,そう言う意味では,新書に限らず,文庫本もそうなのだが.読書趣味に1円も払いたくなければ,図書館を利用するのが究極的なんだろうケド,アレ,返却期限があるから怠いよな.そもそも手元にブツが残らんので,タイトルや内容と忘れてしまうと「これを読んだ!!1」って気がしない.「忘れてしまうのなら,それは積んであるだけじゃないか?」と言われそうだが.

基本自炊なのだが,平日の昼飯は外食にしている.昼休みに会社の席に居ると,読書するよりもインターネッツしてしまう現象が見られたので,手弁当は止めてしまった.ただ,あんまり暑かったりすると外に出たくないので,気が向いた時,夏は作ったりする.で,昼休みになると,本と財布だけ持って昼飯を食いに出かける.飯屋の行き返り,飯屋でブツが出て来るまでに留まらず,飯そのものを喰いながら本を読む.喰いながら読んでいると,利き手でない方で片手持ちになるので,邪魔になるブックカバーや帯の類は予め全て外しておく.そんな事をしているので,本が汚れる.手が滑って落としたり,ミートソースや醤油やソースがかかったりする.そうすると当然市場価値は下がるのだろうケド,そもそも中古市場から仕入れる事はあっても流す事はしないので,あまり気にしていない.流石にミートソースや醤油やソースをわざとぶっかける訳ではないし,拭き取れる汚れであれば拭き取る.なので,オレが生きている間に読む事に支障が出る程に傷むとは思っていない.殆どタダみたいな値段で入手した本なら,猶更,そのあたりは気にしなくて良い.未だ経験はしていないが,スープの残ったラーメン丼や下水道の側溝に落としても精神的ダメージは殆ど無いと思う.電子書籍端末やスマホアプリを勧められる事は偶にある.DRM云々とか,ページを捲る感触云々とか,高尚な理由を探せば,まぁ,あるにはあるだろうが,タダみたいな値段の紙の本は扱いが気楽だ.そして,面白い事に値段と内容は殆ど関係が無い.

2019/04/17

reorg(&mybookshelf); // #6

昨日に引き続き,賽の河原の石積みの如く本の整理をしている.

賽の河原云々と言えば,ダンテの神曲を挙げない訳には逝かぬ.
  • ダンテ・アリギエーリ=著 平川祐弘=訳 ギュスターヴ・ドレ=画 神曲 完全版 河出書房新社(2010/08/30) ISBN978-4-309-20549-6
  • 平川祐弘 ダンテ『神曲』講義 河出書房新社(2010/08/30) ISBN978-4-309-20550-2
今は多分どちらも文庫版が出てると思うので,御手頃価格で入手出来ると思うが,ハードカバーの本はカッコイイ.デカくて重くて高いケド.
といいおえると盗賊は
 両のこぶし無花果いちじくの形に握りしめ、天に振りあげて叫んだ、
 「この手を取ってみろ、神よ、おまえに挑んだのだぞ!」
地獄篇 第二十五歌
fig signと呼ばれるアレですね,ロック!!1

同一訳者のボッカッチョのデカメロンも文庫版が出ているが未履修.本屋に行くと何故か上中下巻のどれか一つが品切れで何時も買えないでいる.密林でポチっても良いのだが,リアルな本屋の良い所の一つは,買おうとしていたモノが品切れとかで買えなかった時,何故か別のモノを買っている事なので,良いスパイス(?)になっている.

2019/04/16

reorg(&mybookshelf); // #5

本の整理は賽の河原の石積みに似ている.

ノートルダム寺院が燃えたらしいので,今日整理したブツからはジャンヌ・ダルクなモノをチョイスした.
  • レジーヌ・ペルヌー/マリ・ヴェロニック・クラン=著 福本直之=訳 ジャンヌ・ダルク 東京書籍(1992/09/12) ISBN978-4-487-76153-1
  • レジーヌ・ペルヌー=著 高山一彦=訳 ジャンヌ・ダルクの実像 文庫クセジュ(1995/05/31) ISBN978-4-560-05766-7
  • レジーヌ・ペルヌー=著 塚本哲也=監 遠藤ゆかり=訳 奇跡の少女 ジャンヌ・ダルク 創元社(2002/05/20)
  • レジーヌ・ペルヌー=編著 高山一彦=訳 ジャンヌ・ダルク復権裁判 白水社(2002/05/25) ISBN4-560-02838-9
  • 高山一彦=編訳 ジャンヌ・ダルク処刑裁判 白水社(2002/06/10) ISBN4-560-02837-0
  • 高山一彦 ジャンヌ・ダルク 歴史を生き続ける「聖女」 岩波新書(2005/09/21) ISBN4-00-430968-9
文献等の史実に即したモノと信仰面に特化したモノの二系統が主らしいが,上記は前者.後者は密林の干し芋リストで塩漬けたままだな.
 民衆の欲求により,とぎれることなく作りつづけられる驚くほど多彩な作品の数々。ジャンヌの肖像(ポートレイト)の特徴を,そのように要約することもできるだろう。しかし,彼女の真の肖像画は,ただのひとつも残されていない。
レジーヌ・ペルヌー=著 塚本哲也=監 遠藤ゆかり=訳 奇跡の少女 ジャンヌ・ダルク
資料編 3 ジャンヌの肖像
つー訳なので,彼女の外見は現存する絵では分かりません.
 ウォーリック伯の命令で、遺骸の灰は集められてセーヌ川に投ぜられた。群衆がそれを聖遺物として持ち帰らぬための処置であった。そのときにもまた、ジャン・マシューが語り残しているように、こんな噂が人々の口から口へと広まっていった。
「地方裁判所の書記のジャン・フルーリに聞いたのだが,彼が刑吏に聞いたところによると、身体が焼きつくされて灰になっても、彼女の心臓はそのまま血まみれのままであった。遺体の灰ともえ残りはすべて集めてセーヌに投げ捨てよとの命令を受けたので、刑吏はそうしたとのことである。」
 イザンバール修道士はこの刑吏がこう言っていたとつけ加えている。
「ジャンヌの臓物と心臓にどんなに油や硫黄、炭の粉を加えても、どうしてもそれらを焼きつくし、灰にすることはできなかった。それはじつに驚くべきことで、まるで疑う余地のない奇蹟のようであった。」
"十九の春のなかば過ぎ
あわれ、焼かれし現身うつせみ
はかなくも乙女の身体からだ、灰と化し
風のまにまに飛び散りぬ"
レジーヌ・ペルヌー/マリ・ヴェロニック・クラン=著 福本直之=訳 ジャンヌ・ダルク
第一部 戦記 第7章 "イギリス人に殺されるのは百も承知のうえです" ジャンヌの心臓
つー訳なので,彼女の遺骸は残っていません.
「彼女がトゥールだかシノンだかにいたとき、サント=カトリーヌ=ド=フィエルボワ教会の祭壇の後にある剣を探しにやった、といっている。すぐに錆びた剣が見つかったという。」
 その剣がそこにあることをどうして知っていたのかと尋ねられて、彼女はこう答えている。
「その剣は地中に埋められていて、錆びついており、十字印が五個刻されていた。剣がそこにあることを彼女は"声"を通じて知っていた。《中略》サント=カトリーヌ=ド=フィエルボワで見つけた剣をどうしたかは知ろうとするべきではなく、また裁判とは何の関係もないので、今のところその質問には答えられない」と言明している。
レジーヌ・ペルヌー/マリ・ヴェロニック・クラン=著 福本直之=訳 ジャンヌ・ダルク
第三部 討議 V ジャンヌ・ダルクの剣
つー訳なので,彼女の佩剣は残っていません.
 一四二九年十一月九日,ムーランより発送.
 原本(紙)はリオン町立古文書館蔵(AA-三三).(ジュール・キシュラが現物を調査した時点で確認している印章と封蝋の中に残されていた黒い髪の毛一本は現在では無くなっている.)
 署名あり(確認されているジャンヌの署名のうちでも最初のものである)。
 マレイシ=ムラン伯『ジャンヌ・ダルク書翰集』(一九一一年)に複製あり。
 (参照=キシュラ,第五巻,一四七~一四八頁)
レジーヌ・ペルヌー/マリ・ヴェロニック・クラン=著 福本直之=訳 ジャンヌ・ダルク
第三部 補遺 I ジャンヌ・ダルクの書翰 13 リオン(Riom)在住の町人,僧侶充ての手紙
これは...復活ワンチャンあるで,クローン的な意味で.倫理的にはアウトだろうケド,フィクションならありやろ.フランスの極右とカトリックの異端が悪魔合体した地下秘密組織がヒトクローンが禁止されていない某国の秘密研究所あたりで隠匿されていたこの髪の毛からアレして薄幸の少女が復活するんや.でも,クローンの素体は単なる召使でジャンヌ本人じゃないみたいな夢を見て彼女は葛藤するんや.誰か頼んだで.

2019/04/15

reorg(&mybookshelf); // #4

未だ本の整理が終わらない...

今日整理したブツからは狼モノをチョイスした.
  • 石塚尊俊 日本の憑きもの 俗信は今も生きている 未來社(1959/07/31) ISBN4-624-20001-2
  • クロード・カトリーヌ・ラガッシュ/ジル・ラガッシュ=著 高橋正男=訳 狼と西洋文明 八坂書房(1989/09/10) ISBN4-89694-590-5
  • 平岩米吉 犬と狼 築地書館(1990/12/25) ISBN4-8067-2307-X
  • ヴェルナー・フロイント=著 日高敏隆=監 今泉みね子=訳 オオカミと生きる 白水社(1991/01/20) ISBN4-560-04023-0
  • ジル・ラガッシュ=著 高橋正男=訳 オオカミと神話・伝承 大修館書店(1992/04/01) ISBN4-469-24320-5
  • 平岩米吉 狼 その生態と歴史 新装版 築地書館(1992/09/10) ISBN978-4-8067-2338-7
  • アベル・シュヴァレイ=著 高橋正男=訳 ジェヴォーダンの人食い狼の謎 東宣出版(1993/03/25) ISBN4-88588-019-X
  • 篠田知和基 人狼変身譚 西欧の民話と文学から 大修館書店(1994/02/15) ISBN4-469-25047-3
  • エリック・ツィーメン=著 今泉みね子=訳 オオカミ その行動・生態・神話 白水社(1995/03/25) ISBN4-560-04045-1
  • ジェラール・メナトリー=著 高橋正男=訳 オオカミ 神話から現実へ 東宣出版(1998/04/15) ISBN4-88588-040-8
  • 栗栖健 日本人とオオカミ 世界でも特異なその関係と歴史 雄山閣(2004/02/20) ISBN4-639-01839-8
  • 菱川晶子 狼の民俗学 人獣交渉史の研究 東京大学出版会(2009/03/25) ISBN978-4-13-056305-5
  • セイバイン・ベアリング・グルード=著 ウェルズ恵子/清水千香子=訳 人狼伝説 変身と人食いの迷信について 人文書院(2009/05/30) ISBN978-4-409-51062-9
  • マーク・ローランズ=著 今泉みね子=訳 哲学者とオオカミ 愛・死・幸福についてのレッスン 白水社(2010/04/20) ISBN978-4-560-08056-6
  • ショーン・エリス/ペニー・ジューノ=著 小牟田康彦=訳 狼の群れと暮らした男 築地書館(2012/09/03) ISBN978-4-8067-1447-7
  • ファーリー・モウェット=著 小林正佳=訳 狼が語る ネバ―・クライ・ウルフ 築地書館(2014/02/08) ISBN978-4-8067-1471-2
  • 今村豊 三河のオオカミ・山犬 少年の頃に見た妙で不思議な犬の消息を尋ねて 文藝春秋企画出版部(2015/03/12) ISBN978-4-16-008828-3
最近出たモノまでは追ってないケド,多分,日本語で読める入手性にあまり問題の無い狼モノは殆ど読んだと思う.

アヴェロンの野生児(ヴィクトール)とミドナプールの双子(アマラとカラマ)は狼そのものよりも人間よりなのでチョイスしなかった.コレに反応するの,多分教育界隈とアカデミックを除けば,極一部のオタクだけだと思うんだ.で,その極一部のオタクは「颯仁工房」って言う同人ゲームサークルの「人狼奇譚~そしてぼくらは蒼い夜のうたをきく~」をプレイしてるね,絶対.オレは現役でプレイしてた.好きだったなぁ,コレ.ググってみると,密林で売られてる...随分値段高い気がするケド.

ジャック・ロンドンの野生の叫び声(The Call of The Wild)と白い牙(White Fang)の様なフィクションが過ぎる小説やヘルマン・ヘッセの荒野のおおかみ(Der Steppenwolf)みたいな「狼と全然関係あらへんやん」な小説もチョイスしなかった.前二者は光文社古典新約文庫のヤツで,後一者は新潮文庫のヤツで読んだケド,正直言ってあんま面白かった記憶が無い.

動物学以外に,憑物や人獣変身譚,民俗学の類がチョイスされているのは,まぁ,趣味だな.

2019/04/14

reorg(&mybookshelf); // #3

未だ本の整理をしている.

今日整理したブツからはフランス産のブツをチョイスした.
  • ミシェル・ド・モンテーニュ=著 宮下志朗=訳 エセー1 白水社(2005/11/10) ISBN978-4-560-02574-1
  • ミシェル・ド・モンテーニュ=著 宮下志朗=訳 エセー2 白水社(2007/01/20) ISBN978-4-560-02575-8
  • ミシェル・ド・モンテーニュ=著 宮下志朗=訳 エセー3 白水社(2008/03/10) ISBN978-4-560-02576-5
  • ミシェル・ド・モンテーニュ=著 宮下志朗=訳 エセー4 白水社(2010/06/20) ISBN978-4-560-02577-2
  • ミシェル・ド・モンテーニュ=著 宮下志朗=訳 エセー5 白水社(2013/01/30) ISBN978-4-560-02578-9
  • ミシェル・ド・モンテーニュ=著 宮下志朗=訳 エセー6 白水社(2014/12/10) ISBN978-4-560-02579-6
  • ミシェル・ド・モンテーニュ=著 宮下志朗=訳 エセー7 白水社(2016/03/25) ISBN978-4-560-02580-2
多分,今は文庫版が出てるんだろうケド,エセー2からは出る度に読んでた記憶がある.退屈な部分もあるケド,そう言うトコはオフトゥンで読むと寝落ち出来るので睡眠不足解消に重宝した.
ここでは、狩猟という実例を挙げるのが、もっと適切かもしれない。
〈中略〉
 無防備で、こちらに少しも危害を加えない、罪もない動物を、追いかけ回して、殺すのを見ているだけでも、わたしなどは、気分が悪くなる。また、よくあることだけれど、鹿は、息が切れて、力が尽き、もはや助かる道はないと感じると、追跡しているこちらに向かって身を投じて、降参し、涙を流しながら慈悲を乞うてくる――《血だらけになって、呻き声をあげて、まるで嘆願するかのように》(ウェルギリウス『アエネイス』七の五〇一-五〇二)。わたしにとって、これはいつも、ものすごく気の滅入る光景なのだった。
エセー 第二巻 第十一章 残酷さについて
それでもオレは肉を喰うぞ!!1
  • フランソワ・ラブレー=著 宮下志朗=訳 ガルガンチュア ガルガンチュアとパンタグリュエル1 ちくま文庫(2005/01/10) ISBN4-480-42055-X
  • フランソワ・ラブレー=著 宮下志朗=訳 パンタグリュエル ガルガンチュアとパンタグリュエル2 ちくま文庫(2006/02/10) ISBN4-480-42056-8
  • フランソワ・ラブレー=著 宮下志朗=訳 第三の書 ガルガンチュアとパンタグリュエル3 ちくま文庫(2007/09/10) ISBN978-4-480-42057-2
  • フランソワ・ラブレー=著 宮下志朗=訳 第四の書 ガルガンチュアとパンタグリュエル4 ちくま文庫(2009/11/10) ISBN978-4-480-42058-9
  • フランソワ・ラブレー=著 宮下志朗=訳 第五の書 ガルガンチュアとパンタグリュエル5 ちくま文庫(2012/05/10) ISBN978-4-480-42921-6
同時代著者/同一訳者の影響もあって,上記エセーの訳注に度々登場するので,こっちも読んでた.若干下品なトコもあるが,エロ/グロ/ナンセンスを否定したら表現の自由は終わりなのです.
この世界が、あと三年続くかどうかだって、そりゃあだれにもわかりません。いや、たとえもっと続くにしたって、自分は三年生きますなんて、おのれに太鼓判を押すような阿呆がいるかってんですよ。
  明日までも生きていられると、請け合ってもらえるほどに、
  神様を、がっちりつかまえておける奴なんか、いた試しがない。
  (セネカ『テュエステス』六一九-六二〇)
第三の書 第2章 パニュルジュ、ディプソディはサルミゴンダンの城主に任ぜられる。そして麦が青いうちに食べてしまう
おまえは、争いごとを全然仲裁することができんのよなあ。なぜだと思っちょる? ことがまだ青くて、生なのに、しょっぱなからかじりついたりするからだよ。わしはな、すべてを、とりまとめてきたんじゃぞ。なぜだと思う? ことがしっかりと熟して、こなれてから、究極のところでがぶっと噛みつくからだぞ。『ユスティニアヌス法典』契約締結編、<有効法>にも、
  アマタノ危機ヲヘテ手ニシタル果実コソ、ヨリ甘美ナモノナリ
と注解してあるではないか。
第三の書 第41章 ブリドワ、訴訟調停者についての話をする

2019/04/13

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本の整理を続けている.

今日整理したブツからはオカルト的アトモスフィアが漂うブツをチョイスした.
  • マーガレット・アリス・マレー=著 西村稔=訳 魔女の神 人文書院(1995/08/25) ISBN4-409-51036-3
古典ですね.
  • ノーマン・コーン=著 江河徹=訳 千年王国の追及 紀伊國屋書店(1978/11/30) ISBN978-4-314-01049-8
  • ノーマン・コーン=著 浜林正夫=訳 ノアの大洪水 西洋思想の中の創世記の物語 大月書店(1997/12/12) ISBN4-272-53031-3
  • ノーマン・コーン=著 山本通=訳 魔女狩りの社会史 ヨーロッパの内なる悪霊 岩波モダンクラシックス(1999/09/07) ISBN4-00-026410-9
Warrant for Genocide: The Myth of the Jewish World Conspiracy and the "Protocols of the Elders of Zion", (Penguin, 1970)の全訳をマジで誰か頼むで.
  • エマニュエル・ル・ロワ・ラデュリ=著 杉山光信=訳 ジャスミンの魔女 南フランスの女性と呪術 新評論(1985/02/10) ISBN4-7948-2231-6
フランソネットとパスカルはいつまでもしあわせにくらしました.
  • ジャン・パルー=著 久野昭=訳 妖術 文庫クセジュ(1959/09/15) ISBN4-560-05248-4
  • ペネソン・ヒューズ=著 早乙女忠=訳 呪術 魔女と異端の歴史 筑摩叢書(1968/12/25) ISBN4-480-01128-5
  • ルーシー・メア=著 馬淵東一/喜多村正=訳 妖術 紛争・疑惑・呪詛の世界 平凡社(1970/08/05) ISBN978-4-582-82105-7
  • クルト・バッシュビッツ=著 川端豊彦/坂井洲二=訳 魔女と魔女裁判 集団妄想の歴史 りぶらりあ選書(1970/11/20) ISBN4-588-02026-9
  • ギー・テスタス/ジャン・テスタス=著 安斎和雄=訳 異端審問 文庫クセジュ(1974/01/05) ISBN978-4-560-05546-5
  • カート・セリグマン=著 平田寛=訳 魔法 その歴史と正体 人文書院(1991/07/20) ISBN4-490-03036-1
  • ライナー・デッカー=著 佐藤正樹/佐々木れい=訳 教皇と魔女 宗教裁判の機密文書より 叢書・ウニベルシタス(2007/11/25) ISBN978-4-588-00875-7
法政大学出版局の叢書・ウニベルシタス,かなり好きなんだケド,如何せん値段が高いので密林の中古品をポチってしまう.上記のブツもそうなのだが,珍しい事に第一訳者から贈られた本っぽくてサイン+押印がある.
浅原利正様
     恵存
佐藤正樹
誰やねんと思って調べたら,第二訳者の大学の学長だった.贈られた本を中古市場に流す学長ェ...

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本の整理をしている.

学部を卒業して今の部屋に引っ越した時に,実家から高さ2m位の5段作りの本棚を持って来たのだが,その程度では早々に溢れてしまい,床でマルノウチ・スゴイタカイビルを建設しまくっていた.それらは3.11の地震で一部が無残にも崩壊したが,その教訓を活かした自主的な高度制限により,未だ繁栄が衰える兆しは無い.紙の本が好きなので嵩張る事は覚悟していたが,速読や多読をしていなくても10年以上未整理のまま積んでいると,生息域は結構狭くなる.

最近は暇なので,もう読み返す事も無さそうな古い雑誌とかを処分する事も兼ねて,本の整理を始めたのだが,アレだな.まぁ,流石に中身を確認するじゃん? そうすると,全く整理が進まんね.

そこで思いついたんですよ.このマルノウチ・スゴイタカイビル群,完全にって訳じゃないんだけど,似た様なジャンルの本が近い階層に纏まってるので,2年以上放置していたブヨグに読書感想文の様なモノを書きながら整理すれば良くね?

と言う訳で,本日区画整理されたマルノウチ・スゴイタカイビルからは以下をチョイス(?)した.
  • アンソロジー 勿忘草 祥伝社文庫(2003/01/20) ISBN4-396-33082-0
  • アンソロジー 邪香草 祥伝社文庫(2003/04/20) ISBN4-396-33099-5
恋愛ホラー物が非リア充オタクの蔵書から出て来るのが意外とか言うのは無しやで...

ドッグイア(dog ear)と言う言葉がある.紙の本のページの角を内側に折り曲げて栞代わりにする事で,ワンコの耳が垂れ下がっている様に見える事から来ているらしい.本自体が傷むので最近はあまりやっていなんだが,ちょっと前はイイ感じだと思ったページにコレをやる癖があった.で,この2冊,それぞれ一つずつ耳がある.
「自分の幸せは自分でつかむよ!」
「そんなこと、できるわけないでしょう」
 即座に、姉は切り返してきた。
「私がいなくては、夜道すら歩けない癖に。今更、私の手を振り切って、あんたに何ができるのよ!」
「……どうしたんだ。姉貴、おかしいよ」
 呆然と、僕はかぶりを振った。
「あなたが、あんな女とつきあうからよ」
 彼女は激しくテーブルを叩いた。
「あんな可愛い子とつきあうから、人の嫉妬を受けるのよ!」
〈中略〉
「犬みたいにはしゃいで、馬鹿みたい」
犬恋 加門七海
「どんなふうにする?」
「おまかせ。ばっさりやって」
「いいの? 丸刈りにしたりして」
「構わないよ。いがぐり、結構流行ってるんだよ」
「嘘」
「ほんとだよ。知らないの」
 そんな他愛ない話をしながら、鋏をすすめて行く。
 しゃきん、はらり。
 しゃきん、はらり。
 銀の鋏が閃くたびに、ケープの上に髪が散る。
 静けさだけが取り柄の町には人声も、車の音も、何もしない。ぴったり閉めた窓の外からは風の音さえ入ってこない。聞こえるのは鋏の音だけ。
 わたしは隆行の髪をひと束すくいとり,房のようにさばく。そしてそれをゆっくりと五本の指の先に絡ませた。
 隆行がうちに来た日から、髪を切るのはわたしの役目だった。
銀の鋏 青木和
読んでから結構経つケド,あんまり趣味は変わっていない事は確認出来た.でも肝心の本の整理は未だ終わりそうに無い.