金持ちだったら有名な古刀とかを国内の刀剣商から買うのだろうけれど,大して金持ちでも無いのに珍しいモノ好きのオタクなので,美術品的にはグレーゾーンとの説が電脳世界ではまかり通っている軍刀を,ワザワザ国外から輸入してみた.多分,真似する人は居ないだろうけど,オレが調べた限り,その手の情報が少ない感じがしたので,メモ代わりに書き留めておく.
海外から軍刀を輸入する際は,色々覚悟しておく必要がある.例えば,モノの状態が思ったより悪かったり,ニセモノを掴まされる可能性もあるし,ホンモノだったとしても,審査する先生の評価によっては,銃砲刀剣類登録証が発行されない可能性もある.モノがモノなだけに,安くても20万円近くするのが普通なので,その程度の金が吹っ飛んでも動じない覚悟で臨む必要がある.
つー訳で,その辺りの覚悟が出来たら,御目当てのブツを購入する.大体,支払い方法は,1)クレジットカード,2) PayPal,3) 銀行から送金の3通りくらい.クレジットカードは為替とか全部込みで処理してくれるので楽だけど,小口の古物商なんかだと「クレジットカード番号をEメールでよこせ」みたいな事を言ってくる怪しいトコロもある.PayPalも為替とか全部込みで処理してくれるけど,確か取引金額の4%を手数料として取られる.銀行からの送金は,外国向け送金になるので手続きが色々メンドイし手数料も取られるけど,キチンと手続きを踏めば,確実で安全な気もする.つーわけで,どれも一長一短なので,好きなのを選べばヨロシ.因みに,今回オレは銀行から送金した.購入に際して,特に事前の法的手続きをする必要は無い.普通の業者なら,購入後にブツの発送が済んだらEMS追跡番号を教えてくれるので,郵便局か税関から連絡が来るまで追跡結果を見て待っていれば良い.
ブツが国内に入ると,大体,「通関手続きを必要とする郵便物のお知らせ」と言うモノが来る.これは,「価格が20万円を超える国際郵便物の通関手続の見直しについて」にある様に,20万円以上のブツである可能性がある場合,通関手続きをする必要があるから.コレには通関委任状と返信用封筒が同封されているので,オレの場合は,銀行から送金した際の書類とかのコピーと一緒にまとめて送り返した.今回のブツは20万円以上しなかったので,結局課税はされなかったみたい.
その後,大抵の場合,銃砲刀剣類登録証が付属していないので,税関から「外国から到着した郵便物の税関手続きのお知らせ」と言う簡易書留が来る.ソレには,
(日本刀等)とか書かれているので,自分の住んでいる都道府県の教育委員会に電話をする.オレは埼玉県在住なので,埼玉県庁教育局生涯学習文化財課と言うトコロに電話した.今回オレは,ココの担当者経由で件の登録審査の予約を取った事になる.
貴殿(社)宛の刀剣等については、住所地の教育委員会にあらかじめ登録申請が必要とされています.
なお、東京都教育委員会(TEL:03-5320-6862)で申請を受けたものについては、毎月第3火曜日に郵便事業株式会社東京国際支店において登録審査を行っています。
で,予約した日の登録審査に出席して,審査した先生方からOKが出れば,即日で登録可能証明書と言うモノが発行される.一部の軍刀は,法的には美術品ではなく,武器として扱われる為,鑑定証明書が発行されない代わりに,コイツが発行される.因みに,ブツが興亜一心刀だと分かると,他の刀の審査していた先生達も混じって色々話し合っていたので,「ヤヴァいかな?」とか思ったのだが,なんやかんやでOKが出た.審査して頂いたのは藤代興里先生と言う方で,後で知ったのだが,スゴイ先生らしい.最後に「こう言うモノは残していかないとね」とかニコニコして言っておられたのでとても印象に残った.
次に,管轄が経済産業省貿易経済協力局貿易管理部貿易審査課とか言うアリエナイぐらい名前が長いトコロに移って,輸入承認の個人使用の特例を適用して貰う.具体的には,当該課に電話で連絡した後,発行された登録可能証明書などなどをFAXで送るとアッサリ適用される.因みに,一ヶ月に一度,三振り程度までなら個人使用の特例と判断するらしい.
更に,管轄が税関に戻って,輸入承認の個人使用の特例が適用された旨を連絡すると共に再度発行された登録可能証明書などなどをFAXで送ると,やっとブツが税関を通って自宅まで来る.
最後に,自分の住んでいる都道府県の教育委員会,オレの場合は埼玉県庁教育局生涯学習文化財課に再度電話すると,都道府県の教育委員会主催の刀剣登録審査会に来る様に言われるので,再度審査を受けて銃砲刀剣類登録証を発行して貰う.因みに,銃砲刀剣類登録の手数料として,刀剣一振りにつき6300円かかる.
追記:携帯のカメラで撮ったヤツを貼っておく.